2021.03.23
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特定整備で何が変化した?
木下:これだけのエーミング機器が並んでるのは初めて見ました。
藤田:そうですね、展示会とか行ってもなかなかないでしょうね。
木下:2020年、あっという間に一年過ぎて2021年になりますが、今年振り返っていかがでしたか?
藤田:今年の年明けはゆるい感じで進んでいってたんですけど、2月の中旬くらいからかな、ばたばた世間が騒ぎ出しました。
私は数年前からエーミングの準備していましたが、2020年4月に特定整備が出てきて、法規化した後にどうなるだろう、動きはゆっくりなのかなって言ってたんだけど、動き方は早いようだね。
全国の統計でいくとそんなに特定整備も数が増えてないって聞いてる。けど実際、作業、現場でやってる所は多分すごい(エーミングの仕事の)数を持ってて、全体はまだ動いてはないけども、動き始めてるところには仕事が入ってきている。
木下:全体はまだ動いていないけど、動きはじめているところには仕事が入ってきているということですか?
藤田:コロナ禍で中々研修っていうのも進んでなかったりとか受けにいく人たちもまだまだ少なかったりとかっていうのを聞く中で、すごい早い段階で動いてきちゃうのかなっていうのは正直ありますね。
https://youtu.be/-R2MiKFNwRc
木下:具体的にどういう話が藤田さんの周りにありますか?
藤田:僕の周りだともう、ディーラーの中古車関連のところだとか、あとそこに該当する車屋であったりとか。エーミングはガラス変えた時はカメラ、バンパー取り替えとかラジエーターのコアサポート交換とかなると当然、エーミングはミリ波レーダー。
なんか実は、そこに伴う作業、例えばバンパーの中にコーナーセンサーついてるでしょ。それを交換したら国産車のメーカーだと登録したりとかっていう作業がその中に入ってくるんだけど、そこの作業とかもひっくるめて、エーミング、再校正みたいな。そういうのが仕事の流れになりつつあるね。
木下:海外とかだと、エーミングというより、ADASとかプロフェッショナルなADASの作業とかプロADASとか言ったりすると思いますが、電子制御装置全般に関わるものが一気に動き始めた感じですか?
藤田:そうそう、本当にそこは電子整備校正屋さんみたいな、そんな感じの位置づけになりつつあるのかなって感じです。
バンパー交換したりとか、どこかの部品交換したりしたらあいつのとこに持っていきなよ、校正してくれるよ、みたいな、車の販売屋とか修理屋とか鈑金屋とか保険屋とか、今まであったけど。そこにエーミング屋みたいな新たなカテゴリーが今後生まれてくるのかなと思うね。
エーミングで囲い込みは進むのか?
https://youtu.be/AcZntKOXtkY
木下:実際エーミングとかをやっていく中において全車種できるわけじゃないじゃないですか。どんなに機器揃えていてもやっぱり純正機じゃないとだめとか、いろんな環境があると思っています。
実際に、エーミングが始まる前はディーラーの仕事に全部なるんじゃないかみたいな話を結構聞いてたんですけども、始まってみると実際は違うように感じでいます。
藤田:はじめは囲い込みみたいな感じで僕たちも思ってたんだけど、実はそんなこともなく、従来のスタイル、外注は外注さん、専業は専業さんなりの、役割ってあったじゃないですか。
そこに新たなカテゴリーが加わったみたいな感じで、より昔よりそこの感じは強いかもしれないね。仕事が増えたっていうよりは、外注していた分散されてたものが集中していくみたいな感じですか。
木下:集中していくっていうところでいうと、出せる工場がより一層選ばれるようになってくるし、選ばれる工場にはより一層お願いするケースが増えてくるっていう事ですよね。
藤田:そこが今までと違うところだね。どこでも誰でもできちゃうっていうそれが標準化するのに一番なんだけど、そこの土俵がちょっと高い位置に今までと比べるとあって。
僕よく言うんだけど、これまでは、ツール買ったらその日から使えたりとか、次の日から使えたりとか、この整備業界ではすぐにお金になった、この整備業界は。
ところがADASのエーミングに関しては、ツールはあっても知識とか、経験とかが重複して進んでいかないと、中々ツールがあってもできるようにならない。
そこが進むのにこうブレーキがかかってるのかなと。それも数がでてきたら、逆にやるしかないからどんどん浸透していくって思うけど、はじめにやっているところは非常にマージンがあるよね。新しいものがどんどん出てくる中で、いきなりそこにきてないから。その人たちは、徐々にステップを踏んで今の仕事がある訳で。
木下:最初に始められる方って情報も少ないし、始めるにあたって苦労も多いかとは思うんですけど、逆にいうと今初めてないと後からキャッチアップ出来るかというと、かなり難しいですよね。
藤田:これから外注さんとかも、専業とかいろんなカテゴリーの外注さんがあるけど、一社で最終的に完結するのか、分業でシステム作ってやるのか、この二つになるね。
ディーラーさんとかも外注出すけど、そこで全部完結してきてよっていうのが、多分主流になってくるし。
木下:ディーラーさんの視点からするとそれが一番助かる訳ですよね。
藤田:それが本来の外注(出来上がったものを納品する)だと思う。また戻ってきて、自社(ディーラー)でエーミングしてとかいうのは中々数が増えてくるとできないと思うな。
どうしても外注したとこで全部完結して、そこで出来なかったらそのグループ内で連携してできるような仕組みを整えていかないと、今から発売する車全部ADAS付いちゃう訳ですから、ものすごい数になるじゃないですか。
特に鈑金塗装、修理に関しては、その新しい自動車を直すじゃないですか、もしぶつかっちゃったりしたら。
そこの需要っていうのは絶対的に出てくるし、それって最新のものなので、それなりの設備とか、ツールも含めて持っておかないと対応できなくなる。
だけど絶対そこの仕事はある、なくならない。そこを取りにいけるかどうかっていうのは、投資判断でもあるし、その前にスキルを高めないとその仕事は取れない。2021年はもっとそういう仕事が出てくるんじゃないの?
特定整備によって変わる収益構造
木下:もうすでにレベル3の発売の話も出てますし、それに伴ってライダーの用語がよく出るようになってきましたね。
藤田:それがどの時点でどのくらい普及するかまだわかんないけど、けどそんな遠い将来じゃないし、逆に言えばもっと近いところにあったりとかするかもしれない、それはわかんないけど、いきなりそこにはいかないから、段階を経てそこにいくだろうから。まあその準備を十分今からやっていくっていうのも大事かなって思うけどね。
木下:今は、フロントのカメラでしたり、ミリ波とかが主だと思うんですけども、これからサイドとかリアの方まで広がっていくっていうお話も聞いてますけれど。
藤田:確実にリアは装着されるんじゃないの。後ろから追突されそうになったらさ、事前にシートベルト巻き上げるとかね、ドライバーに警告させるとか、普通に考えたらそうなるだろうなってあるじゃないですか。
今から増えるのはパーキングアシストだったりとか、駐車支援とかね。年取ってくるとそういうのがどうしても自分の中で不注意になったりとか、今まで見えてたものが見えなくなったりとか、そういうのがデバイスで補ってもらうのがすごいいいなって思います。
それがアクシデントで壊れたりすると、現場の人たちは校正を含めて元に戻すっていう作業が出てくるから、それはそれで大変なのかなって思いながら。だけど、これからいるよなと思う。
今までだと形を戻すところと、まあ走る性能ですよね。そこにこう、センサーとか校正作業が入ってる。まあ当たり前の流れといえば当たり前の流れなんでしょうけど、新しいことって掴みづらいというか、見えないから怖いっていう方もいらっしゃいますよね。大多数がそうかな、でもそういう風になっちゃうっていう前提で動くしかないよね。
木下:2020年と言えば、特定整備の施行に伴って、大きくこの業界にエーミングというキーワードがどこでも聞かれる話題になったのかなって思ってまして、いろんな取組みをされる会社が増えてきてるかなって思いますけど、具体的にどうなるっていうところまで見えてるかというと、模索をしながらっていう一年かなって思ってまして。
これが2021年になってくると、もっと具体的に取り組みを開始した会社が一定の成果なり、結果を残し始めるのが2021年なのかなっていう気もしてるんですけど、そういったところは藤田さんはどう思われてますか?
藤田:2021年こそが、ある意味「特定整備元年」という感じかなって思ってます。やっぱりコロナであったりとかで、スタートが遅れたりとか、っていうところがある中で、元年的には2021年かなっていうのが正直あるね。
その根拠としては、こういう車両が2021年以降発売されていくというところと、おそらく今、エーミングを実際にやっている工場というのは、去年よりも今年、今年よりも来年って毎年の数字が右肩上がりに上がってると思うんですよ。
それを考えるとやっぱり来てるなっていうのが非常に実感として湧くし、特に国産車のエーミングする割合が去年と比べると2倍以上になってる、2倍どころじゃないな。
ほんと数倍になってきてるっていうのが現状で、その数字を見てるとやっぱりきてるなっていうのが、正直あるんですよね。
来年もっと来るから、やっぱりマルチなツールって恐らくないんですよ。エーミングツールに関しては、国産車も輸入車も出来ますみたいなのは恐らくないので。
いろんなものを組み合わせしていく中で、仕事を完成していくんですけども、まず国産車を軽自動車なら軽自動車、このメーカーはこのメーカーだけやるでもいいと思うんです。
とにかくターゲットを絞って、選択と集中をさせて、ハードとソフトを揃えてやっていかれるのがいいかなと。
収益構造が変わるんですよ、エーミングっていうのは。
僕もこの世界30年くらいいますけど、手汚して時間かけて、1つの仕事を完成させる、これも仕事。だけど、エーミングのようなシステムでなおかつ、同じ作業をいかに早くセットアップしてやっていくかっていうこと、僕はこれは究極の手数料商売だと思うんですよ。
手数料商売というのは、実は一番儲かる。台数をこなそうとした時に、いろんなプランで数を伸ばすことはできるのは手数料商売の良さなんですよ。
難易度の高いものも確かに完成できるけども、それをシステム的に数を多く回していこうって考える時に、中々困難極める事がいっぱいある。ところが手数料商売はそこが簡単にできてしまう。いかにセットアップを早くして、回収をするか、回転させるかっていうのが面白いビジネス。
そういう手数料商売元年みたいなものが、2021年から来るのではないかなと思っていて。
木下:先ほどお話の中で、頼むところには何でもお願いする流れが出てくるだろうって言われてたじゃないですか。なので同じ作業を繰り返して、効率を高めてやっていくっていうところの作業で信頼を得た工場というのは今後仕事が増えていく可能性はあるのではないですか?
藤田:電子に関わるっていう部分では、多分そういうところに話がいくよね。
木下:長いこと車検でしたり点検の項目って増えてなかったじゃないですか。これが久しくぶりに新しく増える項目(保安基準)というか、藤田さんが言われてる手数料商売というお話に繋がるかなって思うんですけど。
藤田:純粋に増えますよね、やる事が。
木下:なので人口が減ってきてるとか、車両が伸び悩んでるみたいな中で、今後この業界どうなるだろうっていう話も多いですし、この前の2030年ガソリン自動車の発売禁止みたいな話とか、本当に業界にとっては大きな話題だなって感じてるところなんですけど、そういう中でも伸びる要素を非常に秘めたところですよね。
エーミングで新たに生まれる市場
https://youtu.be/1_h--0J8ZJk
藤田:だから、車検とかエーミングとかって将来は無くならないと思うんですよ。車検は50年くらいやってるでしょ、プラスエーミングが入ってきたりとか、これからいろんな自動運転が始まる中で、多分新しいデバイスが出てきたりとか、いろんな今までなかったことが仕事として生まれてくる可能性って十分あると思うんですよ。
そこにいくまでの準備期間みたいな感じでエーミングをやっとこうかみたいな、そんなノリでもいいとは思います。
木下:今回いろんな機器、後ろにも並んでますけども、何をやるのか、どこをターゲットに絞るのかで高いものもあれば、意外とお手頃な形でスタートできるものもあるし。なのでセットで買うとすごい金額ってイメージだけで「いやいや、うちは無理だから」っていうところもいらっしゃるじゃないですか。だけど、入り口としては全然違う入り方もありますよね?
藤田:本当に同じ車種やるのでも、車両の中心線から正対するものと、リアアクスルからの基準でのタイプとの二種類あるんですよ。そこの工場で、どれが自分のところに一番合う商材なのかとか見極めてもらって、当然僕らも情報出しますけど。
一番自分たちに身近でマッチしたものを手に入れて、そこからスタートするのも全然アリだし。ターゲット決めてやれれば、今までなかったものがプラスですから、これは手数料商売としてはオイシイと思います。
木下:今あるものとしてはカメラとミリ波があると思うんですけど、割合とかはどうなんですか?
藤田:圧倒的にミリ波の方が多いね、ミリ波とバンパーのコーナーセンサーかな。
あとはドアミラーのところにカメラがついてるじゃないですか、ああいうものはどうしても修理で交換したりとかなると、そういうところの校正って出てくるんで、そのあたりですかね。
ガラスは今まで通りガラス交換したら、プラスアルファでカメラの校正という作業が入ってましたけど、比率としては圧倒的にミリ波の方が多いんじゃないのかなと思います。
木下:2021年より一層大きく変わる年になるのかなって思うんですけど、逆にそこが大きなチャンスに間違いなくなるのかなと、今回お話しさせてもらってすごい感じました。
<藤田隆之 プロフィール>
株式会社ティーワールド 代表取締役。
1971年生 山口県周南市出身。1991年 車が大好きでサーキットに通い始めレースデビュー。2001年(株)ファーストと契約し、海外レースにチャレンジ。
アジア8か国を7カ月かけてツアーし、全15戦を戦い、アジア地区最大のFIAイベントレース(ATCC)アジアツーリングカー選手権にフル参戦し、日本人初のアジアシリーズチャンピオンを獲得。
カーレーサーの経験と知識を生かし、高度化する自動車メンテナンスの業界において業界を牽引する取り組みを業界団体やメーカーなどと展開している。
<モデレーター>
2005年、インドにてアパレル・ブックストアの運営と同社2店舗新設に従事。 2006年、タイ式マッサージとヨガスタジオを開業。2009年、ネットカフェを開業。同年、デザインスタジオを設立し、CIやWebを制作。 2013年、オートアライアンス/株式会社フタバに入社し、M&A先の立て直しやグループ3社の代表取締役を務める。 2018年、カスタマークラウド株式会社とファインピース株式会社を設立。2020年より、オートアフターマーケット再興戦略 基盤長、オンラインメディア 代表の他、社団法人運営にも従事。
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